幸せな「老犬ホーム」めざして飼育環境ルール 業界の団体発足

ペットにも飼い主にも快適な余生を――。そんな思いから、「老犬ホーム」の経営者有志が飼育環境にルールを定めて普及させようと業界団体を発足させた。全国の施設にも参加を呼びかける予定だ。
「老犬ホーム」は老いて動けなくなったり、飼い主が高齢や病気になり飼うことが難しくなったりした犬を有料で預かる。法律上「譲受飼養業」にあたり、昨年4月時点で全国に118カ所ある。このうち東京や群馬、京都、福岡、佐賀、熊本の6施設の経営者が2月中旬、「一般社団法人老犬ホーム協会」を立ち上げ、菊池市に本部を置いた。
環境省動物愛護管理室の担当者によると、老犬ホームは飼育スペースの広さなどに明確な基準がなく、狭いケージ(おり)に押し込めて散歩や運動をさせないなど、「劣悪な飼育環境の施設も多い」という。
協会は、大型犬でもゆったり過ごせる、1頭あたり1・6平方メートルの飼育面積を確保する▽飼い主への施設公開や面会に対応する▽騒音、汚水、汚物、臭いに対し、適切な処理を行う――などのルールを明文化。これに加え、協会への加入条件として常勤職員1人あたりの飼育頭数を15頭までに抑えるよう求める。このルールを守れる団体に、加入を勧めていきたいという。
ペットも人間も寿命が延び、高齢の飼い主が高齢ペットの「老老介護」に行き詰まるケースは多い。

協会の代表を務める緒方心さん(41)が菊池市で経営する「老犬ホーム トップ」では現在、約40頭を飼育。平均年齢は14~15歳だ。その6割は、飼い主が高齢や入院で飼えなくなって預けにきた。このほか、高齢の飼い主が歩けなくなった犬の世話をできなくなったケースと、夜鳴きなどで近所の苦情を受けたケースがそれぞれ2割ずつある。
ペットフード協会の17年9月時点の統計によると、犬を飼っている人の年代は50代が15・4%と最も多い。60代は14・2%、70代は10・5%と大きく下がる。犬を飼うことをためらう理由に、4割以上が「最後まで世話をする自信が無い」をあげている。
トップは冷暖房の利いた犬舎を備え、晴れた日は敷地内のドッグランで遊ばせる。足腰が弱って歩けない犬には、排泄(はいせつ)物の処理や床ずれの防止など介護をしている。ただ、飼育料金は税込み年約42万円、飼い主の死亡後も世話を続ける「終身プラン」は約147万円と安くはない。

それでも、大型犬ラブラドルレトリバーのメス「レナ」を預ける宇城市の網田薫さん(80)は「かわいがってくれる施設があり、本当にありがたい」と言う。昨夏、レナの夜鳴きが止まらず眠れない日々が続き、預けることを決めたという。「一人暮らしで大型犬の世話は難しかった」
緒方さんは「高齢犬は引き取り手もなく、飼えなくなると保健所での殺処分に直結していた。高齢の犬と人間双方が幸せに過ごせる環境を、全国に広げたい」と話す。

朝日新聞・朝日新聞|引用|2018/03/10