ベトナムの「はち公」映画巡り物議 「なぜシバイヌが」

犬と老人の悲しい別れを描いたベトナムの国民的小説の映画化で、主役の犬を日本原産のシバイヌが演じることになり、「なぜベトナムの犬ではだめなのか」といった疑問の声が上がっている。ベトナムでは誰でも知っている日本の「忠犬ハチ公」のような物語で、シバイヌの起用が決まるとネット上などで批判的な意見が広がった。

映画化されるのは、1940年代のベトナム北部の貧しい農村を舞台にした短編小説「Lao Hac(ハクじいさん)」。妻を亡くし、息子も出稼ぎに出てしまった孤独な老人が、心の支えにしてきた「カウバン」という名の犬を貧しさのあまり手放し、後悔と寂しさから自ら命を絶つ。ベトナムでは学校の授業でも教えられる人と犬の心の交流を描いた物語だ。

だが、8月にあったオーディションで、ベトナム人が飼うシバイヌが主役に決まったと報じられると、違和感を表明する声が続出。地元紙トイチェは「食べるのも精いっぱいの貧しいハクじいさんが、なぜ外国産の犬を飼えるのか」「シバイヌは日本が誇る犬種。この物語の時代背景に合わない」「カウバンはベトナム犬のイメージしかない」といった読者の声を報じた。シバイヌはベトナムでは約8万〜56万円する高級犬という。

同紙によると、映画の制作陣はベトナム犬種も検討したが、主演に決まったシバイヌは利口で人なつこく「演技力が素晴らしかった」と説明。メイクや映像効果でシバイヌをベトナム犬らしく見せることも考えているという。映画はベトナムで来年半ばに上映予定。(ハノイ=鈴木暁子)

GOOニュース  9月20日  引用